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男性外来

(副院長) 松岡 直樹

資格
  • 日本泌尿器科学会指導医
  • 日本透析医学会員・日本癌治療学会員
  • 日本がん治療認定医機構認定医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(膀胱又は直腸機能障害)
専門分野 泌尿器がん・後腹膜腫瘍・排尿障害・尿路感染症

2009年8月より三郷中央総合病院泌尿器科では、水曜日午前に男性外来として男性更年期障害、男性性機能障害に特化した外来を開設致しました。いずれもデリケートな病態であり、時間にも余裕のある外来診療を行いたいと考え、完全予約制としております。ご相談、ご質問のある方はまず電話でお問い合わせくださいますようお願い申し上げます。

診療内容

問診や病態に応じた自己記入式の質問票を通じて患者さんの訴えを把握し、必要に応じ理学的所見をとります。この中には精巣(睾丸)の触診、ペニスの視触診、前立腺の触診を含みます。臨床検査を行う場合もあります。これは男性ホルモン検査や一般的な採血、超音波検査、心電図検査などです。これらの結果を踏まえ、薬や器具を使った治療を行います。


男性更年期障害

加齢とともに性ホルモンが減少し、それに伴い種々の症状が現れてきます。これを更年期障害と呼んでおり、女性では閉経を境に著明に女性ホルモンが低下するために、現れる症状も激しいことが多く、以前から治療としてホルモン補充療法が行われてきました。近年、平均寿命の延長や生活の質(quality of life、QOL)に対する関心の高まりと相まって、男性においても加齢に伴う性ホルモンの低下によると思われる症状が注目されるようになってきました。

男性ホルモンは20歳前後にピークを迎え、その後ゆっくりと低下していきます。女性の閉経前後のような顕著な低下は認められず、高齢者でもある程度の男性ホルモンは分泌され続けています。かなり個人差が大きいため、男性ホルモンの検査値そのものを直接症状と結びつけることは難しく、一人一人の患者さんの中での経時的変化が大きな意味を持つと思われます。

症状としては性欲や勃起能の低下といった性機能障害、いらいら感、不安感、不眠、だるさや意欲低下といった精神症状、ほてりや発汗、筋力低下、体毛の変化といった身体症状などがあり、多岐にわたります。最近増加傾向にあるうつ病とも通じる症状もあり、鑑別も重要ですし、実際に精神科的アプローチを要することもあります。

男性ホルモンが基準値より低下している場合は男性ホルモンを補充する治療を行います。現時点で我が国で行えるのは2~4週間ごとに筋肉注射する方法です。将来的には飲み薬や貼り薬あるいは塗り薬が使用可能になると思われます。(既に海外で発売されています。)一方で、男性ホルモンは前立腺がんの進行に関わることが知られており、既に前立腺がんにかかっている患者さんには使えません。また前立腺がんの有無を治療前にチェックしておく必要があります。

男性ホルモンが正常で症状の訴えがある場合には、先に述べた様に精神科的な治療をお勧めする場合もあります。


性機能障害

性機能障害の中には、性欲の低下、勃起力低下、性交困難、射精障害などが含まれます。それぞれに原因が考えられます。精神心理的原因があったり、男性ホルモンの減少に伴う更年期障害の一症状のこともあります。その他、脳血管障害や骨盤内手術に伴う神経学的な原因もあります。十分な問診を行った上で、夜間の勃起の有無を調べるエレクトメーターを使用して勃起機能を調べます。その他、陰茎の血流を調べるために超音波検査を行うこともあります。

状況に応じてバイアグラなどの薬物療法を行ったり、心理学的治療を考慮したり、陰茎海綿体への注射を行ったり、陰茎に陰圧をかけて勃起状態を作り出す器具を用いるといった治療を行います。現在は我が国では行える状況にはなっていませんが、陰茎にシリコン性の器具を埋め込んで性交を可能にする手術(陰茎プロステーシス)も期待されます。

悩みを持っていても、なかなか相談しにくい障害だと思います。しかし生活の中で重要な意味を持つ障害ですので、遠慮なくご相談いただければと願います。