APS療法(次世代PRP療法)のご案内
当院では令和2年1月より再生医療の一環として整形外科疾患:変形性ひざ関節症に対するAPS療法(次世代PRP療法)の再生医療を開始しております。
なお、当院では「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」第40条第1項の規定に則り、特定細胞加工物製造届出を行い、細胞培養加工施設としての認可を受け、「再生医療等提供計画」に関する届出を関東信越厚生局に提出し、2019年10月に受理されました。 これにより再生医療第2種・PRP(多血小板血漿)を用いた変形性関節症の治療(関節内への投与)を行なうことが可能となりました。
- 特定細胞加工物施設認可
- 認可番号:FC3190058
- 第2種再生医療等提供計画書
- 計画番号:PB3190059
1. 再生医療とは
再生医療とは、ケガや病気で失った機能を従来の医療ではなく、加工した細胞や組織・血液等を用いてヒトにもともと備わっている修復能力を増大させて治療する方法です。
整形外科分野では、再生医療は組織や血液のような「体細胞」を使用した治療法や体細胞に変化する前の「幹細胞」を用いた治療法が進んでいます。体細胞治療では、血液を用いた治療として患者さんご自身の血液を専用の医療機器で濃縮加工して修復能力が高くなった血小板を作製し患部に注入することで、変形性関節症などの関節痛や炎症を抑えたり、スポーツ選手などに起こりやすい筋肉や靭帯損傷の改善が行なわれています。
「従来の保存的治療では症状が改善されない」、「手術の決心がつかない」等でお悩みの患者様にとっては保存療法と手術療法の中間的位置付けとして治療の選択肢がひとつ新たに増える形になると思われます。
2. 当院の再生医療
APS療法(Autologous Protein Solution(自己たんぱく質溶液))
PRPをさらに遠心分離・特殊加工することで、炎症を抑える働きをするタンパク質と、軟骨を守る成長因子を高濃度に抽出したものがAPSです。次世代PRPとも呼ばれており、関節の痛みや炎症の軽減、軟骨の変性や破壊の抑制が期待できます。
患者様ご自身の血液から作製したAPSを患部に(対象疾患:変形性膝関節症)注射する治療です。APS作製は医療機器として治療に使用すること(安全性)が厚生労働省より認められた医療機器を使用します。患者様ご自身の血液を使用するため、免疫反応の起きる可能性は極めて低いと考えられます。また、採血と注射のみで終わるため、患者様の体への負担も少なくて済みます。
一般的に1週間~4週間ほどで組織の修復が起こり始め、治療後2週間~3ヶ月までには効果が期待できるとされています。また、海外の治療報告ではAPSを1回注射すると、最大で約24ヶ月の間改善効果が続くとの報告もされています。
但し、治療効果や効果の持続期間については、自分自身の血液を使用するためにその時の年齢や体調等の条件によって治療効果が変わってくること、また個人差がありますので、予めご了承のほどお願い致します。
PRP療法(Platelet-Rich Plasma(多血小板血漿))
PRPは血液から血小板を濃縮することにより、血小板に含まれる活性の高い成長因子を多く含みます。血小板は血液1μlに10~40万(個)含まれ、血液全体に占める割合は1%以下と言われています。血小板は、血管が傷ついたとき、傷ついた場所に集まって血を固める働きがあります。その際、血小板から多量の成長因子が放出されます。
この成長因子は、傷ついた組織の修復を促します。血小板の放出する成長因子の効果により、組織の修復が早まったり、治りにくい組織の修復が期待されます。この効果を利用する治療方法がPRP治療(GPSⅢ)です。
長期間にわたる痛みの抑制効果だけでなく、成長因子による軟骨保護効果も期待できる他、ご自身の血液成分だけを使用した治療法ですので、免疫反応が起きにくいという点も大きなメリットです。
一般的に1週間~6ヶ月で組織の修復が起こり始め、治療後2週間~3ヶ月までには効果が期待できるとされています。
PRP療法の種類別特徴と効果期間について(ヒアルロン酸注射との比較)
PRP(第2種再生医療) | ヒアルロン酸注入 | ||
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GPS®Ⅲ | APS(次世代PRP) | ||
概要 | 関節腔内に投与することで、損傷した患部の疼痛を和らげる効果があり、また、組織を修復する効果が期待される。 | GPS®Ⅲをさらに濃縮しているので、関節腔内に投与することで、損傷した患部の疼痛を和らげる効果や組織を修復する効果がより期待される。 | ヒアルロン酸は関節腔内に注入されるとクッションのような働きをし、痛みを和らげる効果がある。 |
効果持続期間 | 6~12ヶ月程 | 最大24ヶ月 |
6ヶ月程 |
治療後のリスク(注入部位の痛み、腫れなど) |
リスクはほとんど変わらない。 |
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品質の安定性 | PRPは患者様自身の血液から製造するため、品質がばらつく可能性がある。 | 医薬品として承認されており、品質は安定している | |
アレルギーの可能性 |
自家移植のため、極めて低い。 |
品質管理された安全性の高いものだが、アレルギー反応などの可能性を完全には否定できない。 | |
標準投与回数 | 1回 | 1回 |
用法・用量の範囲内 |
費用 |
- |
自費診療 320,000円(税抜) |
保険適用 |
- 治療効果には個人差があります
- 詳細な治療内容やご不明な点は、医師・スタッフへお尋ねください
- 施術後、患者様の個人的な事情及び金銭等に関する問題に関しては一切の責を負いかねますのでご了承ください
3. 費用について
この次世代PRP療法は、保険診療の適応外となっていますので自費診療となります。
1関節投与につき下記の金額がかかります。
投与部位 | 膝関節 |
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再生医療の種別 | 第2種 |
医療機器名称 | APSキット |
費用(10%税込価格) | 352,000円/1関節 |
- この治療により確実な効果を保証するものではございません
- 万が一治療効果が認めない場合でも施術後の返金には応じられませんのでご了承ください
- お支払いにはクレジットカード、デビットカードをご利用頂けます
4. 治療の流れ
当院整形外科では、完全予約制でAPS(次世代PRP)療法を実施致します。 【完全予約制】診察時間 14:00~16:30(午後診療)
人工関節外来 | 第1・第3・第5(水曜日午後) |
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水曜日午後:整形外科医師 密山 久次郎 (部長兼関節センター長) | |
APS療法(再生医療)外来 | 第2・第4(火曜日・水曜日・木曜日午後) |
水曜日午後:整形外科医師 密山 久次郎 (部長兼関節センター長) |
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初回診察
事前に整形外科専門外来で問診、診察、採血検査、画像診断等施行し、APS療法の適応を確認した上で、患者様に治療の説明と同意をもらいその後治療日を決定します。
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治療当日
APS(次世代PRP)療法は、いずれも下記のステップで実施いたします。
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STEP①:採血
患者様の血液を55mL程度採取します。 -
STEP②:抽出
専用のキットを用いて、採取した血液からAPSを抽出します。 -
STEP③:注入
抽出したAPSをひざ関節の患部に注入します。
- 治療当日のSTEP①~③の工程にかかる所要時間は、およそ1時間程度ですので、入院の必要はなく日帰りで帰宅することができます。
- 治療当日は、飲酒や激しい運動、入浴はお控えください。
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STEP①:採血
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治療後の定期的な外来診察(評価・フォローアップ)
治療後の経過観察のため、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に整形外科担当医師の外来診察を受けて頂きます。(保険診療の取り扱い)
問診、診察(治療評価)、必要な場合には画像診断等を行ないます。
5. APS療法(次世代PRP療法)のメリット、デメリット
メリット
- 患者様ご自身の血液を用いるため安全性が高く、感染症やアレルギー反応などの副作用のリスクがありません。
- 自己血液から簡便に調整ができ、日帰りでの処置が可能です。
- 採血と注射で完了する治療なので、年齢の上限制限はありません。
- 治療痕が残りにくく、何度でも治療を受けることができます。
- 1回の投与で修復作用が上手く働けば、痛みの軽減や機能改善に対する長期的な効果持続が期待できます(海外の臨床試験にて、APS療法では最大で24ヶ月効果が持続していたとの報告があります)。
デメリット
- 患者様ご自身の血液を使用するため体調や年齢などに左右され、場合によっては安定した効果が出にくいといった欠点があります。(治療効果・効果の持続期間には個人差があります)
- 施術時、患部への注入には痛みを伴うことがあります。
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採血部位・治療部位に皮下出血が起こる場合があります。
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注射による腫れ・痛み・熱感・内出血など生じる恐れもありますが、一時的なものです。
症状が強く出た場合は当院へご相談ください。腫れや熱感を早く改善するためには、クーリング(冷やすこと)をお勧めいたします。
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注射による腫れ・痛み・熱感・内出血など生じる恐れもありますが、一時的なものです。
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健康保険など医療保険制度上の保険で治療を受けることができません。
保険適用外となり自費診療で全額自己負担となります。
6. 次世代PRP治療が受けられない患者様(除外基準)
- 投与周辺部に明らかに感染を有する方
- 活動性の炎症を有する方・重篤な合併症を有する方(心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、出血傾向、コントロール不良な糖尿病や高血圧症等)
- 薬剤過敏症の既往歴を有する方
- 1ヶ月以内に本治療を受けたことのある方
- 未成年の方
- その他、担当医が不適当と判断した方
お問い合わせ
月曜日~金曜日 9:00~17:30
土曜日 9:00~12:00
※日曜・祝日並びに上記時間以外のお問い合わせには、対応できかねますので予めご了承のほどお願い致します。